「とにかくもう、あきれるぐらい馬鹿でかくてとんでもないことになっちゃってる、ド迫力の樹木が好きなんですよね」
そう騒いでいたら、ある人が『神木探偵 神宿る木の秘密』という本を教えてくれた。『ミステリーな仏像』の本田不二雄さんの著作である。
うーむ、いつものことではあるが、目のつけどころがさすがだなとほれぼれ。巨木に関する本はいろいろとあるが、ご神木にフォーカスした本というのも珍しいのではないだろうか。
ひと目見て心が震えるような気持ちになったのは、多分8年前、静岡県熱海市の来宮神社だ。
天然記念物の大楠。
未見のかたはぜひ一度とオススメしたくなる巨木には、木のまわりをぐるりと一周すると一年寿命が延びるという伝説も。
私はひと目見て魂を奪われた。それは子供のころ、映画館ではじめてヘドラ(『ゴジラ対ヘドラ』)をまのあたりにしたときの衝撃によく似ていたことも覚えている。
私はヘドラが大好きだった。グロテスクでもの悲しく、けれどなんだか妙に美しい(ここらへんの感覚は理解してもらえなくともいいと思っている。ただ、私の怪談はどこかで間違いなくヘドラとつながっている)。部屋にはゴジラのフィギュアではなく、ヘドラを飾った。
プロレスも好きだったが、昭和プロレスは今のプロレスとはちょっと違い、外人レスラーを初めとする異形のレスラーたちのオンパレード。小さなころ、テレビでそんなレスラーたちを見て「おお…」と畏怖の念を覚えたあの感覚とも近い。
もしかしたら私は、あのころ感じた衝撃やときめき、異形のものたちへの愛と似たようなものを巨木たちに求めているのかも知れない。
怪物でも怪人でも怪獣でもなく「怪樹」といったところか。
すごいエネルギーを感じさせる、埼玉県川越市、川越氷川神社のご神木。
埼玉県上尾市にある八枝神社境内にある、樹齢600年以上とも言われる大ケヤキ。
群馬県高崎市は榛名神社の矢立杉。
関東最強のパワースポットとの誉れも高い秩父、三峯神社の拝殿前のご神木。
どの神社に行っても、私は怪樹を見つけるとついフラフラと寄っていき、「おお……」と見あげる。写真の腕がもう一つなので今ひとつピンと来ないかも知れないが、この社の木たちも立派な怪樹ばかりであった。
そして。
群馬県富岡市の一之宮、貫前神社のスダジイ。
なんと樹齢1000年という伝承もあるという怪樹だが、もうまさに私にとっては「おお、ヘドラ!」だった。
見るものを圧倒する怪物さながらの異形ぶり。抱きついていいよと言われたなら、私抱きついてしまうかも。笑
このブログを書くためにスマホの中に残っている画像を見たら、私、気が違ったように写真を撮りまくっていたみたいです。笑
うーん、すばらしい。死ぬならこういう怪樹につぶされて死ぬのがいいな。いや、よくないか。
群馬県佐波郡玉村町、玉村八幡宮にあるV字の松。
昇龍の松、勝運の松と呼ばれているそうで、松に触れると運が上がるという話も聞いた。
そしてつい先日、私が邂逅を果たした怪樹と言えば――
千葉県成田市にある麻賀多神社境内のこちらのご神木。
私のへたな写真ではもうひとつうまく伝わらないが、なんと樹齢1300年以上と言われる、東日本一の大杉だそう。
とにかく圧倒されるスケール。訪れたのは雨の早朝だったが、私はこの日もまた、雨を忘れてパシャパシャと撮影を…。人面木とも称される木だそうだが、とにかく放たれる「氣」がすごかった。
ちなみにこちらの神社は、知る人ぞ知る有名な社。興味のある方はググってみてください。
それはともかく、仕事を抜きにしていろいろとやりとりさせていただいているある霊能者さんは、
「五穀豊穣って感じのパワーのある神社だって感じますよ。木の成長ぶりを見ても明らかですよね」
とおっしゃっていた。
うーむ、なるほど。
そうか。すごい木のある聖域は、やはりパワーが強いのか。
ヘドラ怪樹を愛し、ヘドラ怪樹を追い求める私の旅は、奇しくもパワースポットめぐりの旅にもなっていたのかも知れない。