以前の投稿で一度ご紹介した、アメリカのドラマ『ジ・オファー/ゴッドファーザーに賭けた男』。
毎日少しずつテレビにかじりつき、ようやく最後まで見終わりました。
平気でネタバレしていますので「これから見る予定!」というかたはお読みにならない方がいいかもしれません。
ご注意ください。
ひと言で言うなら、とてもおもしろいドラマでした。
『ゴッドファーザー』が好きな人なら間違いなく一見の価値ありです。
襲いくるさまざまなトラブル(なにしろ本物のマフィアまで介入してきます)をものともせず、作品を完成させようと奔走するプロデューサー、アルバート・ラディ(マイルズ・テラー)は本当に魅力的。
ラディの有能な秘書として暗躍するベティ・マッカート(ジュノー・テンプル)の存在感にも、回が進むごとに魅了されました。
どこまでが実話でどこからがフィクションなのか知りませんが、本当にこんなことがあったとしたらそりゃたいへんだっただろうなあと、ハラハラするようなスリリングなエピソードがてんこ盛り。
映画製作ってたいへんそうだけど楽しそうだなあと、見ている間、ずっと私はワクワクしていました。
ただ、個人的にちょっぴり物足りなかった部分も。
私が勝手に期待していただけなのですが、なにしろマーロン・ブランドだのフランシス・コッポラだのアル・パチーノだの、一癖も二癖もありそうな人物が出てくるのですから、そうした人物に関するエピソードがもっとたくさんあるのかと思いきや、意外にそれらは思っていたほど豊富ではありませんでした。(コッポラについてはいろいろ出てきますが、私が言っているのはある意味コッポラが主役となり、ブランドなどと激突するような撮影現場でのエピソードです)
どこかで『ハート・オブ・ダークネス』的なもの(コッポラの『地獄の黙示録』製作に関する波瀾万丈のドキュメンタリー)を期待していたのかも知れませんが、もっと映画製作の現場で起きる監督や俳優たちのトラブルも見てみたかったなあと言うのがひとつ。(見終わってみると、マフィアや親会社のお偉方たちとの駆け引きなどの「撮影現場以外」での激突エピソードの印象がとても強いです)
もうひとつは、これまた私が勝手に期待していただけなのですが『ボヘミアン・ラブソディ』におけるライブエイドの完全コピーシーンみたいに、実際の映画のシーンを、登場した俳優たちの演技でぜひ見てみたかったです。
製作がパラマウント(『ゴッドファーザー』の製作会社)系なのでそんな期待もあったのですが、やはり契約上のいろいろな理由でそれは無理だったのですかね。
実現できなかった理由は分かりませんが(ご存じのかた、いらっしゃいましたらご教示ください)、ブランド役の俳優によるドン・コルレオーネの名シーンや、アル・パチーノ役の俳優によるマイケルの名シーンなど、『ゴッドファーザー』に登場する印象深いシーンのいくつかを再現した場面があれば、このドラマへの印象はさらに鮮烈なものになったと思います。(そうしたシーンを撮影している場面は出てくるのですが、演技を見まもるコッポラやラディの「反応」などで示す形なので「ごめん、ラディもコッポラも好きだけど今見たいのはきみたちじゃない!」とか一人で思いながら、いささか悶々としたことは事実です)
――というように、私なりにないものねだりな部分はたしかにあるのですが、それでも全10話、ドキドキ、ワクワクしながら最後まで楽しませてもらったことは事実の、スリリングで胸躍る第一級の実話エンタテインメント。
つづいて久しぶりに『ゴッドファーザー』を見はじめているのですから、きっと私も製作サイドの思うつぼの一人なのでしょう笑。