ご承知のとおり、人気シンガーの槇原敬之さんが覚醒剤取締法違反などの罪で逮捕されました。
槇原さんがお作りになるすばらしい楽曲の数々に、いつでも魅了されてきたファンの一人としては、とても複雑な心境です。
ただただ残念というがっくりくる気持ちとともに、あらためてクスリというもののおそろしさも思わされます。
ですがそれはそれとして、十干と十二支が見せてくれるこの世の不思議に心惹かれつづけている者としては、今回も「うーん……」と腕組みせずにはいられない、不気味な符合にも言葉を失います。
そんなわけで、まず紐解いてみたいのは、槇原さんの一度目の逮捕となった1999年(同年8月26日に覚醒剤所持、発覚)の運勢です。
●槇原敬之さんの1999年の運勢(1969年5月18日生まれ)
年運 大運 日 月 年
己 丙 癸 己 己
卯 寅 巳 巳 酉
———–
戊 戊
庚 庚
丙 丙 辛
※午未天中殺
槇原さんの宿命は、「殺印相生格」という格に入格します。
これは「完全格」と呼ばれる特別な命式で、とても強運な、スペシャルな命式のひとつだと算命学では考えています。
俗に言う「格が違う」というやつですね。
癸 己 己
巳 巳 酉
年干支「己酉」、月干支「己巳」、そして日干支「癸巳」。これら6干支をそのまま五行(木火土金水)に直すと、
水 土 土
火 火 金
となります。
でも、じつは地支の「巳」と「酉」というのは、「巳酉の半会」といって、この2つがくっつくと「巳」も金性に変わるという特徴があります(いつも必ず絶対に、というわけではありませんが)。
そうなりますと五行は、
水 土 土
金 金 金
となり、みごとに「殺印相生格」(=日干を剋す干支と日干を生じる干支、そして日干だけで構成される命式)に入格するわけです(土剋水、金生水)。
運勢、とっても盛大です。かなりな強運の持ち主で、ふつうの人がこういう人と同じぐらいの努力をしても、とうてい太刀打ちできません。いわゆる「持ってる」という命式です。
槇原さんは生まれつき、このような恵まれた命式の持ち主なわけです。
ところが。
逮捕された1999年は、この「殺印相生格」が破壊されてしまっています。
年運 大運 日 月 年
己 丙 癸 己 己
卯 寅 巳 巳 酉
———–
戊 戊
庚 庚
丙 丙 辛
この年めぐってきた年運支「卯」(1999年は「ウ年」)が年支の「酉」との間に、「卯酉の冲動」という散法を発生させています。激しい破壊現象です。つまり年運支「卯」によって年支「酉」が討たれてしまっている、と考えてもいいでしょう。
こうなると「酉」はガタガタです。二つの「巳」との間にしっかりと「巳酉の半会」を作って「殺印相生格」を支えなければならないのに、自分がガタついてしまってそれどころではありません。
つまり、この年は「殺印相生格」がうまく機能しない一年になってしまう可能性がグンと高まります。槇原さんを槇原さんたらしめている命式が、根本から破壊されているのです。
しかも、それだけではありません。
年運 大運 日 月 年
己 丙 癸 己 己
卯 寅 巳 巳 酉
———–
戊 戊
庚 庚
丙 丙 辛
じつはこの年は、年運干支「己卯」が年干支「己酉」との間に、
納音(なっちん)
という現象を発生させています。これは、
人生に180度級の大変化が起きる暗示
です。
すなわち、槇原さんの1999年は、槇原さんを庇護している「殺印相生格」という強力な命式が破壊されてうまく発動しないところに持ってきて、人生に180度級の大変化をもたらす「納音」が襲いかかってきているという、とんでもない時期だったわけです。
そしてこの年、槇原さんは逮捕をされ、日本中が大騒ぎになりました。そのときのことを、今でも私はよくおぼえています。
そして、ときは昨年へと移ります。
2019年。初めての逮捕から20年後です。
●槇原敬之さんの2019年の運勢
年運 大運 日 月 年
己 甲 癸 己 己
亥 子 巳 巳 酉
———–
戊 戊
庚 庚
丙 丙 辛
結論から言うと、昨年の槇原さんの運勢は、まさに20年前の再来でした。つまり20年ぶりに「殺印相生格が破壊され、しかも納音が襲撃する」というWでの破壊現象が発生した年だったのです。
年運 大運 日 月 年
己 甲 癸 己 己
亥 子 巳 巳 酉
———–
戊 戊
庚 庚
丙 丙 辛
年運支「亥」は月支、あるいは日支の「巳」との間に「巳亥の冲動」という激しい冲動現象を起こします。
またしても運勢ガタガタです。「酉」とくっついて「巳酉の半会」を構成し、金性へと変化して「殺印相生格」を形成したい「巳」は「亥」に討たれてしまい、本来の力を発揮できません。
つまり、昨年もまた槇原さんは「殺印相生格」ではない状態での一年を強いられた可能性があります。
そこへ持ってきて、再び「納音」です。
年運 大運 日 月 年
己 甲 癸 己 己
亥 子 巳 巳 酉
———–
戊 戊
庚 庚
丙 丙 辛
年運干支「己亥」と月干支「己巳」の間に「納音」が成立しています。またしても、人生における180度クラスの大変化の暗示です。
その上、さらに昨年は年運干支「己亥」と日干支「癸巳」の間に「天剋地冲」と呼ばれる、また別の散法、強い破壊現象を示す干支の組み合わせも発生していました。
年運 大運 日 月 年
己 甲 癸 己 己
亥 子 巳 巳 酉
———–
戊 戊
庚 庚
丙 丙 辛
はっきり言って、槇原さんの運勢は相当ボロボロで、危険な状態でした。
今回の逮捕の端緒になったという前事務所社長の逮捕は2018年だったとのことですが、それをきっかけにした槇原さんの逮捕が昨年中に行われていたとしても、なんの不思議もないリスキーな運勢です。
結果的に、槇原さんの逮捕は本年2月13日となり、年運干支が「己亥」から「庚子」に変わってから(2020年2月4日から「庚子」年)10日後の出来事となりました。
前年の運気をいまだ濃厚に引きずったなかでの逮捕は、やはり21年前との不気味な符合を思わずにはいられません(「いやいや、逮捕されたのは今年なんだから、2019年は関係ないだろう」と言われてしまえばたしかにそうとも言えます。ですが運気の変化は、デジタルではありません。けっして算命学鑑定士の強弁ではなく、「己亥」が「庚子」になったとたんに、突然「己亥」的運気が全面的にかき消え、「庚子」に取って代わられるというわけではないのです。半月ぐらいは「己亥」と「庚子」の両方が混濁しながら進み、徐々に「庚子」へと引き継がれていきます。逆の言い方をすると「庚子」的なものも、すでに1月の中~下旬ぐらいからはぼんやりと姿を現しはじめているのです)。
これは……ほんとに単なる偶然なのでしょうか?
なんとも不気味に感じながら、じっと槇原さんの1999年と2019年の命式+外(大運、年運)を見つめてしまった私でした。